Stanford MSxとMBAを比べると

「スタンフォードGSBに、MBA以外の、MSxってプログラムがあるの知りませんでした〜」とよく言われます。はい。多いです。

GSBとは Graduate School of Businessの略称で、スタンフォードの経営大学院の全体を指します。

その中に、MBA、MSx、さらにPhDという3つのフルタイムのプログラムがあります。PhDはいわゆる博士課程で研究者や学者さん向けなので、いわゆるビジネススクールとして留学対象になるのはMBAとMSx(ともに修士学位)です。

なので今日はMBAとMSxの両プログラムについて、比較をしつつ簡単にご紹介します。

MBAはこんな感じ
MBAは、学年400名なので、常時800名が在籍。3クオーターx2回、その間に夏休みがあり、全21ヶ月のプログラムです。
平均職歴4年ぐらいで、26-27歳の Best & Brightest な若者たちが、期待と野心を持って全米そして世界から集まります。

インターナショナルの比率、つまりUS以外のパスポートの比率が4割ほどなので、過半数はアメリカ国籍、したがって、学内生活もUS文化が色濃く反映されます(当たり前ですが)。

出身業界の傾向としては、コンサルが最多で、4人に1人はマッキンゼー、BCG、もしくはベインで働いたことあり、という感じです。
近年の特徴は、女性比率が年々高くなっていること(今年は最高の4割越え)、それと、Dual/Joint Degreeということで、MBA以外にJD(ロースクール)やCS(コンピュータサイエンス)など、他学位をセットで学んじゃおうという意欲的な学生が増えてます。

そしてシリコンバレーの隆盛を反映してか、最近では、ハーバード(HBS)とスタンフォード(GSB)、両方受かった学生は殆どスタンフォードを選ぶ、という話も聞いたりします。
事実、今年のUSNewsランキングではスタンフォードが1位になりました。

超優秀な彼らは、卒業後、シリコンバレーの超人気のテック企業に就職したり、壮大な野心をもって起業したりします。
俺は自分の国に戻って家業を継ぐんだよー、とかいって帰る先が、アラブの産油国のロイヤルファミリーだったりもしました。

MSxはこーいう感じ
MSxは、一方、学年90名前後。7月から始まる4クオーター制で、全12カ月のプログラムです。
平均35歳ぐらいの Experienced & Proven なリーダーたちが、更なる高みを目指し、または、大胆に人生の方向転換を企み、文字通り世界中から集まります。最低8年の職歴がないとアプライできず、平均は12年程度です。

インターナショナル比率は7割近くで、むしろアメリカ国籍は少数、必然的に学内でのイベントやソーシャルも各国・地域の文化を反映するものが多くなります。

ライフステージ的にも、結婚していて、お子様たちのいる家族が多く、独身者は2割程度。殆どみんなキャンパス内の寮に住むということもあって、奥様同士や、子供同士も仲良くなり、プログラム全体が家族ぐるみの付き合いをする濃い〜1年間になります。

この点は独身者が大半のMBAとはやはり大きく違っていて、MBAは若い学生ノリ、MSxは落ち着いた大人の集団、的と言えなくもありません。

出身者はというと、業種はやはり多様です。
多少金融の人が多い気がしますが、MBAと違うのは、既に自分の会社を経営しているとか、米軍で特殊部隊のリーダーやってたとか、国会議員をやってたとか、組織のトップや人を束ねるマネジメントの経験が相当ある人が多いんですよね。やっぱ。

こーいう経験値のある人たちがお互い議論するっていうのがMSxの醍醐味なんじゃないかと思うわけです。

仕事での大きな失敗とか、大事な仲間を失った経験とか、マネジメントとしての孤独さとか、クラスで扱うケーススタディよりよっぽどカラフルなんじゃないかと思うような話しも聞けたりするわけです。

しかも家族ぐるみで仲良くなれるし。
それに成熟したプロフェッショナルらしく、お互いをすごくリスペクトします。

この小規模でタイトニットな感じのプログラムは、日本人が慣れ親しんだ文化に少し親和性があるような気がします。
助け合い、落ちこぼれを作らない(苦手分野を教えあったりもします)、などなど。

でも授業は一緒に受ける
MBAもMSxもカリキュラムの半分以上は、自分たちで選択して履修します。
人気授業は抽選です。

で、選択科目は基本的にMBAとMSxの両方が履修できるので、同じ授業を受けます。

なのでMBAからすると、MSxの発言を聞いて、「へー、そんな経験したことあるんだ」ってなったりするし、MSxからすると、MBAは、「あ、今の子達(笑)って、こーいう考え方してるんだ」って学んだりします。

これもちょっとしたダイバーシティだと思います。もと上司と部下が同じ授業を受ける、みたいな感覚で。こういうのはお互いにとって得るものが大きいですよね。

授業以外のソーシャル活動でも、分け隔てなく参加できるものが殆どです。
もちろん数的にマイナーなので、MBAに混ざると常に少数派になることは間違いありませんが。

そんなわけで、MBAとMSx、なんとなく理解していただけたでしょうか。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です